6/20:要約一般質問2「刀匠の支援と刀都せきの観光振興について」
2025年 06月 20日
質問①:刀匠の数と将来見通し
過去には300人いた関の刀匠も、10年前で20人、現在10人へと減少。将来はさらに減少し5人前後になるとの予測もある。刀都を掲げる以上、一定数の刀匠の存在が不可欠であり、今が支援を強化し将来に備えるべき時期と考える。市の実態認識と見通しを問う。
答弁①:
10年前に約20人いた刀匠は、現在10人に減少。50代以下の若手は6人と少数であり、減少傾向が続く懸念はあるが、弟子を取り技術継承に取り組む刀匠もおり、次世代育成に向けた動きも見られる。関市は全国有数の刀匠集積地であり、今後も状況を注視しながら対応する。
質問②:弟子の定着状況
関で修行を終えた弟子が地元へ戻ったり他地域に移ることで、関市の刀匠数が減っているのではないか。弟子の数や関市への定着状況はどうか。弟子の定着支援の方向性についても問いたい。
答弁②:
市内2名の刀匠に計5名の弟子がおり、全員県外出身者。記録の体系的管理はないが、関市での修行後も市内に残ることを検討する者もいる。関市としては弟子の受け入れと育成を進め、刀匠文化の継承に努めており、定着に向けた支援も継続していく。
質問③:残らない原因の分析
刀匠が関市に残らない主な理由として、工房を作る場所の確保、初期投資の高さ、若手時代の収入の不安定さの3点がある。こうした課題を解決すれば、定着希望者も増えるのではないか。市の認識と支援の方向性を問う。
答弁③:
関市に残る意思を持つ弟子は少なく、多くは将来未定で来市している。ご指摘のとおり、工房の確保や設備費、収入の不安定さが大きな課題である。市は「なぜ残らないか」ではなく、弟子一人一人の意向やニーズを把握し、支援制度の整備に努めていく。
質問④:現在の支援策と市の関与
刀匠への具体的な支援制度や活用事例、市からの業務依頼内容などを確認したい。特に刀匠が市とどう関わっているか、日本鍛錬などの仕事の受託状況も含めて明らかにしてほしい。
答弁④:
市は平成29年度に「刀匠移住補助金」を創設し、空き家改修などでの定住支援を実施。「先手募集事業」も行い、弟子の育成も推進。また、日本刀鍛錬の公開実演、小学生向け講座、イベント出演などで謝礼を支払い、刀匠の活躍の場と収入機会の創出に努めている
質問⑤:支援拡充の提案
移住支援だけでなく、工房の場所確保、運営費、仕事の創出、市内若者の刀匠育成など多角的な支援が必要。既存施策はありがたいが、費用対比では不十分。制度拡充や新たな支援の必要性について市の考えを問う。
答弁⑤:
移住補助金は最大300万円を支給。今年度から保存会への補助も強化。工場跡などの物件活用も関係課と連携して検討中。今後は関市民への刀匠育成支援も視野に、制度見直しと補助対象拡大を進めていく方針。
質問⑥:観光振興戦略の進捗と評価
令和6年から始まった第2期観光戦略の進捗とその成果の測り方、「こうしよう会議」の実施状況について確認。観光政策の重要な柱として、具体的にどう評価・運用しているのかを問う。
答弁⑥:
令和6年度から5カ年計画で実施中。庁内で進捗管理シートを回収し、7月に成果検証予定。「こうしよう会議」は実績検証後に毎年開催し、状況に応じ戦略の柔軟な見直しも行う考えで、実行性の高い運用を目指す。
質問⑦:せきてらす周辺の視認性向上策の効果
濃州関所茶屋やせきてらすの視認性向上のために行った木の伐採や整備の効果を問う。来訪者の動線や周遊性の向上につながったのか、具体的な成果と今後の展開を確認したい。
答弁⑦:
伐採等の整備により、せきてらすから関鍛冶伝承館の壁面が視認可能になり、茶屋や伝承館の認知が向上。特別展と連携した物販なども行い、回遊性向上に一定の成果あり。今後は茶屋の厨房改修など利便性向上に注力予定。
質問⑧:せきてらすの施設機能の認知向上策
せきてらすが「何の施設かわかりにくい」と言われる課題への対策を問う。観光案内・物販・体験といった機能の再整理と周知が重要だが、どのように対応しているのか。
答弁⑧:
施設外に案内看板、館内に観光パンフやタペストリーを設置し、観光案内機能の強化を進めている。モデルコース掲載の冊子「関ぐるり旅」なども活用。今後は周辺案内看板の設置も検討し、拠点施設としての役割向上に努める。
質問⑨:「刀都せき」の観光体験コンテンツの充実
刀都戦略の課題として体験機会の不足が挙げられている。現在の体験コンテンツの状況と、今後の拡充方針を問う。
答弁⑨:
刀匠3名が個人で体験提供中。伝承館では月1回の鍛錬公開やペーパーナイフ体験も実施。せきてらすでは段ボール刀制作等を開催。国民文化祭で好評だった野鍛冶体験もプログラム化を検討中。今後も体験機会の創出・PRに注力する。
質問⑩:刀匠工房の観光施設化の提案
せきてらす等に刀匠の工房を設け、観光客が見学・体験できる常設施設にしてはどうか。刀匠にとっても工房確保の支援になるのではないか。
答弁⑩:
せきてらす内に刃物工房はあるが、現状はイベント時のみ活用。常設体験メニューの造成が必要と認識。観光用工房の新設は困難だが、既存の鍛錬場等で見学可能とする支援策について刀匠らと協議を進めていく考え。