様々なところで地域課題から考えるまちづくり事業の研修を行うことが増えています。
基本的には、誰のどんな困りごとに対して、どんな社会になることを目指すのか。現状はこうで、課題はこうで、そのためにこんな事業を、誰と連携して、どこから資金をえて作りますというワークシートをつくるもの。
もとは、関市まちづくり市民会議で10ヶ月かけて、関市の課題解決事業を実行して、関市へ提案する事業の中で実施してきました。
最近では、大学の「ボランティア技法」という授業でも8回の中で、自身がボランティア団体を立ち上げるのだったら?
というテーマで、このワークシートをつくるし、
昨年は中学生リーダー養成合宿の中でも。
今年は、高校生の地域課題解決事業の中でも取り入れました。
そして今年、郡上市のケアマネ連絡会さんからの依頼を受けて、郡上市のケアマネさん50名ほどを対象に
3回連続講座でこの地域の課題解決の事業を考える研修を実施しています。
第1回が7月に行われました。
打ち合わせの中でお聞きしたのですが、ケアマネは、主任ケアマネの研修の中で「地域づくり」を学ばれるそうです。
しかし、実際に取り組むのが難しいと言います。
考えてみるとそうですよね。ケアマネは、福祉に関する個人の調整役であり、何かの実施主体ではありません。
地域の課題解決を考えるときには、
・個人の問題だけではなく、それを地域の課題として広げていく必要がある
・ケアマネ自身が実施主体になることが難しいため、様々な主体を巻き込む必要がある
・制度の間で困る人が多く、他機関のコレクティブインパクトで取り組む必要がある
これらはかなりのハードルなので、取り組むことが容易でないことは想像ができます。
そこで、今回、いつものワークシートを作って、課題解決事業を実際に考えることをやってみました。
すると、驚いたことがでてきました。
それが「困っている人が明確で、圧倒的な説得力がある」ということ
学生や市民とこのワークをやると、困っている人がふわっとしてしまうんですよね。
ペルソナマーケティングとか言いますが、
私も困った時はすべてペルソナに聞けと習いました。
年齢、家族構成、仕事、学歴、住んでいる地域そして仮の名前まで決めます。
ここがふわっとしてしまうと、その先も考えるのが大変になります。
ケアマネさんたちはここが圧倒的に明確。
毎日困っている個人にお会いしているからで、膨大な事例を経験されてきています。
そうすると次に考える、「その個人は何を求めているのか」も明確に書けます。
各グループで出来上がった対象、目指す姿、現状がかなりの精度になっていて驚きました。
医療と福祉の連携をテーマに掲げているチームでは、当初は、困っているのは「ケアマネ」という話もでていましたが、
その先にいる、地域の中で困っている人は誰か?と考えてもらうと
「透析をしている人が、移送サービスで玄関まではこれるけど、医療に引き継いでから病院内の移動が大変になる」
との、かなり具体的な困りごとがでてきました。
様々な場のツールとして、このワークをやってきてますが、この明確さには驚きました。
やはりこの後、大事なのは、だれと協働していくのかということ。
次回の第2回では、ステークホルダーマップをつくってもらおうと思っています。
困っている人を取り巻く関係者図をつくってもらうことで、問題の構造を把握して、その先に進めていければと思います。
ケアマネさんが、地域の団体と協働してこういうのができると尚いいですね。
今後がすごく楽しみです。
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