小布施まちじゅう図書館は廃れたのか
2015年 04月 19日
本によるまちづくりを進める上で、特にテーマとして考えているのが、「本とまちをつなげる」ということ。
本をつながる手段として、市民がまちにもつながるきっかけにしようということです。
「ほんのいっせき」でも、まちなかイベントとして、11店舗に協力してもらい、本に関するイベントを実施してもらいました。
私たちが運営するコミュニティブックカフェ「ブックエカ」でも「まちの本棚」としていくつかのお店に本を置き販売してもらっています。
「本とまちをつなげる」ということで、全国の最先端を行き、大いに参考にさせてもらったのが小布施の「まちじゅう図書館」です。
公立図書館として大変有名な「まちとしょテラソ」の事業として2012年秋に始まりました。

以下、まちとしょテラソHPより
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「まちじゅう図書館」とは、ご自宅やお店の少しのスペース(玄関先、倉庫、蔵など)に本棚を置いて、自分の大好きな本でお客様とコミュニケーション!例えば、酒屋さんだとしたら・・・お酒や肴の本。パン屋さんだったら、パン屋お茶の本、ご自宅では、みんなに読んでほしい本など。
町角に「本がある」場を通じて、人と人が繋がっていくことを願い、「いつもワクワクする情報がある」という活動をみなさんと一緒に楽しんでいく。それが「まちじゅう図書館」です。
毎年開催の春と秋の一箱古本市に加え、今年から5カ年計画で、町中に100棚の設置を目指してスタートです。
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まちとしょテラソや3年目のまちじゅう図書館を見たくて、先日、小布施へ行ってきました。
そこで、感じたことは以下の3つでした。
○最初は100棚を目指すといっていたが、現状17店舗にとどまる。
参加店の中には、店を閉じたところもあり、伸びていない。新図書館を紹介するfacebookページもあるが、2013年4月から投稿が止まってしまっている。
○借りていく人はごくたまに。
参加店に行ってみて少し話を聞いたが、借りていく人はごくごくたまにだそう。
○まちじゅう図書館の本は、まちとしょテラソの貸し出しシステムを目指したが、今は自主運営に任せている。
当初は店舗の本をテラソのシステムと連携して、検索できるようにしたり、バーコードリーダーを用意して貸し出しできるようにしたりする話もあったが、今は各お店の自主的な運営に任せている。
テラソとの関係はあまりない。
というように、少し最初のインパクトからしたら、現状期待通りの成果を上げているとは言いづらい状況だと感じました。
ただ、このような新しい事業は、走りながら考えていくものです。
コンセプトとしては大変素晴らしいし、まちの図書館へ行って本をきっかけに話をすることは楽しい。
私なりに少し考えていました。
○本は変わるから楽しい
自主運営に任せてあることからか、基本的にあまり置く本に変化はありません。
観光客が対象であればそれでもいいですが、本を借りるということは、返さないといけないわけで、当然対象のメインは地元の人ということになります。
本は変わるから楽しい。
本が回転しない本屋や古本屋には人がこないと同じように、
いろんな本が変わるから、新しい本との出会いを期待して行きたくなります。
やはり、テラソと連携して、参加店には、テラソから本を選んで持っていけるようにして、
テラソの本と自分の本とミックスしていくこともいいのではないでしょうか。
○「借りる」ことがこの事業の核心ではない
行ってみて感じた事でもありますが、「借りる」ということがこの事業の核心ではありません。
本を通して、来た人とお店の人が交流することが核心のはず。
であれば、「借りれなくてもいい」。
やはり現状の対象は地元の人ですが、まちじゅう図書館に来る観光客も多いです。
私たち観光客としては、いい店主の勧めでいい本と出会えたなら、買いたい。
また、本と店主との話が少しでもはじまるような、仕掛けもあってもいいですね。
おすすめ本とかの書いた POPがあるとか。
「借りる」ことだけではないことへ広がりもありだと思いました。
まちとしょテラソでは、2013年8月に館長が交代しました。
新館長はまちじゅう図書館を「引き継いでいきたい事業の一つ」と位置付けています。
まちじゅう図書館5カ年計画の半分を過ぎた今、新たなテコ入れを期待したいです。